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RNO--969
 1月 聴講生講座
演題   【房総の文学 −変わり行く故郷千葉ー】
  講師               聖徳大学名誉教授  坂本 哲郎先生
講演要旨
 故郷 千葉の移り変わりを文学作品をとおしてみていきたい。
○千葉市の近代以前のことを書いた作品
・吉川英治「新平家物語」(昭和25〜32)本千葉駅近くの「君待ち橋」が ちょっと出て来る。
・岡本綺堂「千葉笑ひ」(明治45)登場人物は大名の千葉の介。千葉寺では 大晦日「千葉笑ひ」という風習があった。これは寺の境内で、老若男女が思 い思いの面を着け、人の善からぬことを罵り合い日ごろの憂さを晴らすとい うもの。庶民の様子を見ようと出かけた千葉の介は、自分の悪口を言われて いることを知り捉えて面をはぐと、自分の妻と娘だった。そこでこれまでの 行いを反省するという話だ。
・森 鴎外「細木香以」(大正6)細木は幕末の摂津の国出身の大富豪。放蕩 のかぎりをつくした後、江戸 吉原の花魁を身請けして千葉の寒川の白幡八 幡の4年間住む。
・有島武郎「御柱」(大正10)
○千葉の明治期のことを書いた作品
 明治初年人口3000余、県内9位の町、県庁設置明示6年、人口5000 人。総武線(市川〜佐倉)明治27年開通、人口2万人。
・正岡子規「総武鉄道」(明治27)
・伊藤左千夫「野菊の墓」(明治39)主人公正雄が千葉高に通う。
・長塚 節「開業医」(明治41)主人公が千葉医大の学生だった頃、蓮池の 遊郭で遊び呆けて落第してしまう話。
・田山花袋「弟」(明治41)花袋が千葉に講演に来て稲毛の「海気館」に宿 泊した。そのとき女中から聞いた話を題材として執筆した作品。内容は「海 気館」に中年の旦那と思しき男と、色白の若い女が宿泊する。程なくして旦 那が帰った後、若い女は「弟」を呼び寄せる。ところが帰ったはずの旦那が 突然宿に戻ってきて、一波乱が起きる。
○千葉の大正期を書いた作品
 千葉市制施行、大正10年、人口3万4千人。京成千葉線開通。
・中戸川吉二「北村十吉」(大正11)道ならぬ恋の逃避行で千葉駅から稲毛 駅の沿線の描写。
・徳田秋声「縮図」(昭和16)東京の靴工場で働いていた「銀子」が給料の いい千葉の蓮池の芸者となり、千葉医大の学生と恋仲となる。
・杉本苑子「伯爵夫人の肖像」(昭和60)千葉駅付近の鉄道踏み切りで、東 京の然る伯爵夫人とその運転士が、飛び込み心中を謀ったという実話を題材 にした作品。
・中村孝助「土の歌」(大正15)
 ○昭和期前期は次回に講演する。