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RNO--5874
 2017年 3月 聴講生講座
演題 【 地球環境を守る植物たち 】
       講師 中央大学理工学部教授 西田 治文 先生
 
 地球は水と緑の惑星と表現されることがある。私たちヒトを含めた多くの生物が、この緑の恩恵なしには生きていけない。日本は世界でも有数の温暖多雨地域で、全土が豊かな森林に恵まれ、独自の文化もそのような環境で熟成された。日本に住む私たちにとってこのことは大きな幸せであるととともに、一方では往々にしてその自然の恵みが永遠に持続するという誤解を生ずることとなった。現在は世界規模で地球の緑と将来について思案し、監視と必要な対策を講ずべき時代で、日本も真剣にこの問題にとりくまねばならない。生物多様性という言葉はすでに民主主義に匹敵する人類の共通概念であるべきなのに、2010年の名古屋生物多様性COP10以降も政治家の間ですら十分に理解されていないのは、まだ日本人の自然観が平和ボケしているからといえよう。
 地球の生物生産を主に支え、生態系の基盤となっているのは、光合成を行う生物たち、とくに植物である。現在は、光合成生物には複数の仲間(系統bB)があり、ここでいう植物はその一つということになっている。具体的には陸上で生活し、主要な光合成色素として葉緑素(クロロフィル)aと bとを持つ生物である。現在の多様な陸上の生態系は植物なしには成り立たない。その生態系は、植物が最初に陸上に登場してから約5億年の歳月をかけて作り上げたものである。人類の将来を持続的に構築するためには、植物が果たしている役割を再確認し、あわせてそれがいったん破壊されたらどのような結果をもたらすかを、植物の歴史とともに考察する必要がある。
 大陸を飛行機から見下ろすと、以外に緑が少ないのに驚く。日本は緑を享受する一方で、その地理的環境は自然災害が多発する運命をもたらしている。これからの自然との付き合いは一層この特徴を理解したものでなければならない。