Go Zitudai.HP
RNO--5873
 2017年 3月 本科生講座
演題 【 表面や界面の不思議 】
          講師  本校副学長 飯野 光明 先生

講演要旨
 表面と界面は自然の中にあります。
 木々の緑や花の美しさ、心が安らぐ湖畔に写る山並み、虹や夕焼け空、またトンボや蝶の羽の輝き、これらは表面・界面現象によって現れるもので、人々に感動と安らぎを与え、心を育むのに役立っています。
 一方、自然は、人間にとって厳しい姿を見せます。地震や津波、異常気象などは地球規模での表面・界面現象です。
 これらの表面と界面について知ることは、私たちの自然に対する感性を磨き、かつ豊かにするものと思います。
 本講座では、表面と界面の基本的な現象と人々が自然から多くのものを学び、それを私たちの生活に役立てている例を紹介します。

1.自然と人間の関わり
 自然は、表面と界面からできています。そして不思議と思われる現象にも合理的な理由があります。自然は人々に恵みを与え、心を育ててくれます。と同時に、自然は厳しいものです。

2.物質の表面と界面
 物質には表面と界面があり、これが固体、液体、固体と変化しながら存在しています。物質に名前があることは物理的・化学的性質の違いを示しています。特に水は数十分子が手をつなぎあっており、特殊な表面・界面現象を示します。

3.表面張力と界面張力
 物質表面や界面を収縮させようとする力の事です。その値が大きいと表・界面を変化させるのに大きなエネルギーが必要となります。

4.ミクロな表面と界面
 自然界を顕微鏡で覗くと、新たにミクロな表面や界面が見えてきます。

5.物質移動(ワインの涙)
 温度差や濃度差があると、表面張力や界面張力が変化して物質が自動的に動く現象を「マランゴニー効果」と呼んでいます。味噌汁が動くのも類似の効果です。
 
6.物質表面の色(虹、空、花など、どうして色があるのでしょうか。)
 色は、光の反射や吸収などの結果現れ、物質分子の電子状態が作用しています。

7.光の回折や干渉による色(構造色)
 自然界や最先端技術(CDなど)でミクロな表面形状が色を作っています。

8.何故色が見えるのでしょうか。  
 人が色を感じるのは目と脳の仕組みにあります。この仕組みは、生物によって異なるので、昆虫や魚などは、異なる色の世界を見ている可能性があります。

9.人体の表面と界その面現象
 身体は、表面と界面現象の巧みな組み合わせとその作用で命を守っています。特に肺の仕組みと界面の作用を示します。

10.接着と接着剤
 古くて新しい技術で表面を界面に変える実用的な技術です。溶接、リベット、ボルトなどの代替として、自動車、車両、エレクトロニクス、建築、土木、航空機、宇宙産業、医療などに
広く用いられています。

11.塗装と塗料
 塗料は、下地材料の表面を保護し、新たな表面を作り、美観と耐久性を持たせる実用的な技術です。接着と同様に下地材料と表面処理が性能に影響します。
 自動車、航空機、ロケット、建築物・塔(スカイツリーなど)、省エネ塗装、道路塗装(ヒートアイランド対策)に用いられています。

12.界面活性剤と洗濯
 表面や界面の性質を変え、新しい機能を発揮させる物質を界面活性剤と言います。
洗濯は日常生活に欠かせませんが、洗剤には多種の界面活性剤が配合されています。種類は、陽イオン、陰イオン、両性、非イオン界面活性剤があり、物理的作用は、表面・界面張力の低下、ミセルの形成、可溶化、乳化と分散、洗浄作用等があります。天然の界面活性剤は食品や化粧品等に用いられています。

13.摩擦と潤滑(相対運動する界面での現象;トライポロジー)
 クーロン・アモントンの法則 F= μW
 力(F)と加重(W)は、摩擦抵抗(μ)によって表されます。
 ①摩擦は見かけの面積に依存しない  ②摩擦力Fは荷重Wに比例する

14.スポーツでの表・界面現象
 スポーツでは、表面・界面現象についてよく知っている者が勝利します。カーリング、野球などの例を示します。

15.地球での表面と界面現象
 地球は生きています。しかし、その内部は謎が多く、未知なことが沢山あります。地震、津波、火山噴火、地磁気反転などは何れも表面や界面現象です。地球内部のマントル対流や外核の運動が地球表面に影響していることなどを紹介します。