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RNO--5848
 2017 年 2月 聴講生講座
演題 【成年後見人―制度と実際ー】
          講師 元家庭裁判所調査官 廣野 武 先生

講演要旨
1.後見制度とは 2.成年後見制度 3.成年後見人の仕事 4.成年後見制度の運用状況

1.後見制度  制限行為能力者の保護のためのサポート制度

  1.未成年後見
    親権者がいない場合など ⇒ 未成年後見人
  2.成年後見
    精神的障害などにより能力を欠く場合
   ⑴ 法定後見
     ○後見 財産の管理できない ⇒ 成年後見人
     ○保佐 財産の管理に常に援助必要 ⇒ 保佐人
     ○補助 財産の管理に援助必要 ⇒ 補助人
   ⑵ 任意後見
      将来の判断能力が衰える場合に備え、誰に、どのような支援をしてもらうか公正証書 ⇒ 任意後見人(任意後見監督人)

2.成年後見制度の理念

  1.【自己決定の尊重】
   判断能力がなくても、自らの生活を決めるのは本人自身。支援を受けることは自己決定権をなくすことではない。
  2.【ノーマライゼーション・現有能力の活用】
   障害のある人もない人も共に暮らす共生社会。内在するパワーの回復・引き出す。
  3.【身上保護重視】
   生活と療養監護(医療・介護・福祉)全般に配慮し、人間らしい生活を送れるよう財産のみでなく生活の質も考え支援。(本人の権利保護を目指す)

3.後見制度利用状況

  1.未成年後見   平成27年 2,295件
  2.成年後見
   ⑴ 法定後見    平成27年 34,782件
○後見 平成27年 27,521件 ○保佐 5,085件 ○補助 1,360件
   ⑵ 任意後見  任意後見監督人 平成27年 816件
   ⑶ 後見制度利用者数  平成27年12月末 191,335人

4.成年後見制度の利用態様

  1.動機
  預貯金の管理⇒介護保険契約⇒身上監護⇒不動産の処分⇒相続手続き⇒保険金受取⇒訴訟
  2. 申立
      子⇒市町村長⇒兄弟・親戚⇒本人⇒親・配偶者
  3. 成年後見人
     親族が29.9%、第三者(弁護士、司法書士、社会福祉士、法人など)が70.1%
     平成27年は、成年後見人が34,920人選任

5.成年後見人等の権限

  1.成年後見人(代理権・取消権)
  預貯金や不動産の管理、介護サービスなどすべての法律行為を代理と本人の契約の取消し

  2.保佐人(同意権、取消権、代理権)
    借金、不動産の売買(民法13条1項)行為に保佐人の同意。同意ない場合には取消氏。審判で決められた行為の代理権。
  3.補助人
    審判で決められた行為の同意権・取消権・代理権。
    (法律行為の支援で介護等の事実行為は職務外)

6.成年後見人等の業務

  1.就任時、第一回家庭裁判所への報告
    ○本人及び関係者との面談、状況把握
    ○後見人の証明書取得
    ○後見人の届け出(銀行、年金事務所、役所等)
  2.日常業務
    ○本人の生活、健康状態の確認、対応
    ○収支管理・預貯金の管理
    ○定期的訪問、関係者との連携
  3.家庭裁判所との連携 
○定期報告、報酬、本人の対応の疑問等相談

7.成年後見人等の基本姿勢

  ○本人の立場に立ち、本人の最善の利益を追求を。
  ○本人の意思の尊重。
  ○与えられた代理権等の権限行使し、本人を保護。
  ○与えられた権限の内容、範囲の確認し、独断と決めつけで本人の権利侵害に注意。
  ○本人らしい生活の質の向上を目指す。 基本的ニーズが充足しているか、適切なサービスか、財産が生活の質の向上に使われているか。
  ○サービス提供、双方代理等の利益相反関係認識。
  ○いくつもの生活課題を抱える本人支援は後見人のみでは限界があり、支援ネットで活動
  
8.成年後見制度のメリット・デメリット

  1.メリット
   ○成年後見人等が財産を管理する。
   ○成年後見人等が福祉サービス等の契約をする。
   ○虐待、消費者被害等の権利を擁護する。
  2.デメリット
   ○職業選択の自由が制限される。医師、弁護士等や警備業等ができなくなる。(補助、任意以外)
   ○成年後見人等の報酬の費用がかかる。
   ○相続税対策や本人の財産に手が出せない。

9.成年後見制度運用の実情

  1.成年後見制度利用の低迷
   ⑴申立手続の難しさ
   ⑵申立て動機の理念からの 離 
   ⑶補助・保佐・任意の伸び悩み
  2.家庭裁判所の審理手続き
   ⑴迅速、画一処理(鑑定省略、書面処理)
   ⑵財産管理中心。報酬付与。
   ⑶成年後見人選任が親族から第三者にシフト
  3.不適切な後見事務や不正の頻発
   ⑴後見監督事件の累積的増加
   ⑵不正、平成26年521件(29億7千万円)
  4.後見制度支援信託導入(2012年2月~)
    (通常使用しない金銭を信託銀行に信託)