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RNO--5845
 2017年 2 月 本科生講座
演題 【身近な法律問題】  ―卑近に起きる交通事故対策―
                 講師 
                 本千葉総合法律事務所 弁護士 本木 睦夫 先生

講演要旨 
 或る日、突然、交通事故を起こしたり、交通事故に遭ったりしたときに、いかなる対策を考えたらよいかを解説します。
 また、加害者の法的責任は何か、被害者の損害賠償の内容はどうなるのか、解決方法について具体例を交えて考えてみたいと思います。

1.はじめに
   平成28年発生した交通事故件数            49万9232件
   平成28年の交通事故による死者数(戦後3番目の少なさ)    3904人 
   千葉県で発生した交通事故による死者数(全国ワースト2位)   185人
     65歳以上の高齢者 54.8% 
     アクセル・ブレーキの間違い、信号見落とし、高速の逆走などの事故

2.加害者の法的責任
  ⑴ 民事上の責任・・・損害賠償責任 (金銭で賠償する)
  ⑵ 刑事上の責任・・・懲役、禁錮、罰金などの刑罰を受ける
  ⑶ 行政上の責任・・・運転免許取消、効力停止

3.不法行為責任
     民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」

4.運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)
  ⑴ 民法709条の特別法
  ⑵ 実質的な無過失責任
  ⑶ 人身事故による損害について適用される
  ⑷ 物損には適用されない
  ⑸ 泥棒運転の場合・・・車の所有者は運行供用者責任を負わない
  ⑹ 無断運転・・・・・・車の所有者は原則として運行供用者責任がある

5.共同不法行為
  ⑴ 加害者はそれぞれ不法行為責任を負う
  ⑵ 共同不法行為の成立・・・各人の行為が客観的に関連共同する
  ⑶ 不真正連帯債務・・・・・加害者各人が全部を賠償する責任がある
  ⑷ 連帯債務者の弁済・・・・他の連帯債務者にも効力が及ぶ

6.損害とは何か
                 積極損害(治療費、通院交通費、葬儀費など)
       — 財産的損害ー 
  人的損害ー      消極損害(休業損害、逸失利益など)
      
       — 非財産的損害(慰謝料)

  物的損害

7.逸失利益の計算式
   ⑴ 後遺障害の場合
      基礎収入(年収)× 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間
   (例)50歳の男性、年収600万円、後遺障害7級、労働能力喪失期間17年(67歳まで働けるということで) 600万円×0.56×11.274=3788万0640円
   ⑵ 死亡の場合
      基礎収入(年収)×(1-生活費控除率)×就労可能年数に応じた係数
   (例)50歳の一家の支柱である男性、被扶養者2人、年収600万円、就労可能年数17年  600万円×(1-0.3)×11.274=4735万0800円

     未成年の被害    18歳~67歳までの40年間が対象
     高齢者の被害     平均余命年数の半分が対象

8.過失相殺・・・被害者の落ち度は減額される

9.交通事故紛争の解決手段
   ⑴ 交通事故における相談機関
     ア (公財)日弁連交通事故相談センター
     イ (公財)交通事故紛争処理センター
     ウ 自治体の主催する交通事故相談所
     エ 個別の法律事務所
   ⑵ 調停について
     ア 当事者の互譲により条理にかない実情に即した解決
     イ 裁判所が主宰する
     ウ 手続きが簡易で費用も廉価
     エ 調停調書が債務名義となる・・・強制執行
   ⑶ 訴訟による紛争解決
     ア 示談不成立や調停不調となった場合
     イ 被害者にとって得策となる解決場面について

10.刑事責任
   ⑴ 自動車運転死傷行為処罰法・・・過失運転致死傷、危険運転致死傷などで処罰
   ⑵ 道路交通法違反・・・無免許運転、酒酔い運転、ひき逃げなどで処罰

11.行政処分・・・運転免許の取り消し、効力の停止処分など

12.自転車事故の対策
   ⑴ 自転車安全利用五則について
   ⑵ 事例
     ア 親権者の責任が問われる場合
     イ 使用者責任が問われる場合