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RNO--5207
 2016年 4月 本科生講座
演題 【 医学史に学ぶ 】
  講師  千葉大学名誉教授・本校学長 橘 正道 先生

講演要旨
 近年、医学が多くの問題を投げかけている。人体の構造と働きは複雑、精妙であり、その障碍治すことは、かっては人力を超えたもので神の領域とされた。よく現在のレベルに到達したものである。ひたむきな努力の集積による。しかし完全なはずがない。
 とくに近代医学の発展期に見る、人間の賢さと愚かさ、成功と挫折、真実と偽りの交じり合いを振り返ってみたい。これは部分的に現在にも通じることである。
講演内容
医学史概説
・古代および中世の医学
 病気=祟り 祈祷に頼る 医術は慰術 医学は永く哲学でもあった
・ルネッサンス医学
 医学が科学の領域に 解剖学が先駆 時代を画したハーヴェイの血液循環論
 伝染性疾患との戦いの表と裏
 19世紀が始まる直前の奇跡 ジェンナーによる種痘法の発見
・19世紀の医学、その光と影
 人間が自分の能力と進歩を信じきれた時代
 ゼンメルワイスと産褥熱
 クリミア戦争の悲劇 ナイチンゲールの活躍
 天才パスツールの偉業 コッホを先駆者とする病原菌ハンター達の活躍
 外科医リスターによる石炭酸消毒法
・日本の風土病 脚気  
 医学研究の困難さの例 脚気病菌説を唱える大学と陸軍の頑迷
 ビタミン学の始まり
・20世紀の医学
 ビタミンの追求、栄養学の確立、抗生物質の発見と利用
 生化学・分子生物学の興隆、遺伝子機能を含む身体機能の理解の進展
 物理的・化学的診断法の進歩、有効薬物の開発などにより臨床医学の進歩は著しい
 しかし、一方で生命倫理学の必要性、医原病の発生、依然として神経・精神疾患は多くが謎
 根治しにくいガンも多い
 医療は元来難しく、ときに怪しく、また経費がかかる事の認識が必要