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RNO--498
 4月 本科生・聴講生共通講座
演題          【遺伝子といのちの不思議】
  講師       千葉大学名誉教授・千葉実年大学校学長 橘  正道先生
 子は親に似る。カエルの子はカエル。これは遺伝子が伝えられていくからである。では、遺伝子の本体は?それは物質である。その物質はどういうもので、どういう働きをするのか。生物を支配する、とんでもない物質の秘密を探り、生命の奥底を覗いてみたい。
1.生化学者の観る世界
 生化学または分子生物学は生命と生命現象を、すべて物質(分子)の営みと して捉える。しかし、生命現象は色即是空、空即是色の世界に近いかもしれ ない。なぜならその物質がタダ者でないからだ。
2.遺伝子といえばメンデル 何を見つけたのか?
 カエルの子はカエルである。子は親に似る。それは親から子へ配偶子を通し て、種の特徴を決める何かが伝えられるからに違いない。メンデルが遺伝の 現象に規則性のあることを見いだし、遺伝を支配する因子の存在を仮定した のは1865年のことであった。(エンドウマメの実験)
3.染色体の研究がそれに続いたが、染色体は遺伝子そのものではなかった。
4. 遺伝子の物質的本体の追究
  徐々に核酸が候補として浮かび上がって来た。アベリーらが、肺炎球菌の  形質変換ーー弱毒菌が強毒菌の核酸で強毒化することを発見する。
5.DNAが遺伝子の本体
  核酸(細胞核にある酸性物質)は遺伝子本体のデオキシリボ核酸(DN   A)とDNAの働きを助けるリボ核酸(RNA)の2種類からなっている。  DNAの構造は2重らせん構造となっていて、長い長い分子、何十本に分か  れている。ヒトの1個の細胞の核に総計1.5メートル、塩基対総数は2×30  億、そこにほぼすべての遺伝子情報が載っている。
6.遺伝子は何を決めるのかーーその個体のタンパク質を決める。−タンパク   質のアミノ酸配列を決める 
そうすると、植物か、動物か、ナマコカ、カエルか、ヒトかが決まってく  る。
7.遺伝子DNA上の信号ー4種の核酸塩基の並び方ーそれがいかにしてアミノ  酸の並び方を規定するか
  その情報の伝わり方は必要な遺伝子のコピーが作られ仲介する。そ状報 (電子暗号)は驚くほど機械的単純さで、しかも全生物に共通である。
8.同じ役割の遺伝子は1つの細胞に2つあり、相同染色体の同じ位置に載って
いる
1つは父親、1つは母親からのコピー、ということは各々が4人の祖父母誰からのものを受け継いでいる。脈々と命はつながっている。2つある意味は1つに欠陥があっても、他の1つが補うことができる。
9. 遺伝子は不滅かーいや、刻々と傷つく、多くは直るが、傷も残る。これを 突然変異といい、化学物質の運命である。傷つけるのは他の化学物質、放射 線、または細胞の誤作動などである。細胞は強力な修復機能を持っているが なかには皮膚のしみ、場合によっては癌などの遺伝子の病気になることもあ る。しかし長期的に観ると進化の要因にもなっている。
10.生物は遺伝子障害にどう対応するかー個体間でランダムに遺伝子を交換  し、また組み替える。多くは次世代に託す。配偶子の不思議、それらの結  合、産物が子ども。生物が種をつないできた秘密中の秘密、時には個の生命 を犠牲にしてもこの目的を果たす。恋は神の手段かいたずらか、それとも神 の贈り物か。