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RNO--2190
 2011年 聴講生講座
演題             【 社会と子どもの心 】
  講師             元少年鑑別所所長    渡部  正 先生

講演要旨
 『社会と子どもの心』を考える上で最も重要な問題は、児童・生徒の『不登校』『いじめ』『心身の不調』『逸脱・非行行動』等の適応上の問題であろう。
 これらの問題の社会的背景として家庭、学校、地域社会等の児童生徒を取り巻く社会状況に憂慮すべきことがあることを指摘しなければならない。 
 次に児童・生徒の真理発達面の問題を思春期を中心に論考するとして、?身体的・性的発達、?親からの自立、?仲間関係、?学校への適応、?心身の不調、?逸脱・非行行動を取り上げる。
 最後に『家庭教育の課題』と『家庭における対処法』について述べる。その基盤は『日ごろの親子関係』にあり、その上に立って家庭では『抑える』『直す』よりも『育てる』『伸ばす』『勇気づける』に重点を置く必要がある。
1.八街少年院 生活詩集『若い木の詩』(1991年)より
     なりたい             和規
  心がこわれるほど 苦しくて やさしい言葉をかけてくれる人 
  捜したけれど どこにもいない ふと思う 捜すような人間やめて
  やさしい言葉を掛けられる そんな人間になりたい
     心                義行
  人の悪口は言いたくない 人の悪口は聞きたくない
  自分の心に正直に生きたいから 悪口は言いたくない
  言うと自分がだめになる 聞くと人がいやになる 好きなひとでも
  正直に生きたいから やめてくれ 悪口を言うのは
     率直               治
  一人で居る時は 率直な自分が見えてくる 
  みんなと居る時は わざと悪ぶる自分 ふしぎだな どうしてだろう
  どうして率直な自分のままで 生きていけないのだろう
  率直な自分のままで生きていたら もっとすばらしい人生に
  めぐり会えただろうに
      内観         つよし
  内観なんてばからしい 一日中壁に向かって親のことを考える
  こんなことで良くなるものか 人間が変わるものか おれは おれだ
  でもなぜか 母のことを思うと涙が止まらない この気持ちはなんだろう

2.最近の子どもの自我の変容
 『独立達成型』自我から『漂流感覚型』自我へ
(1)『一人前』という規範の崩壊    大人の権威低下
(2)『生産と協力の場』としての家庭から『消費の場』としての家庭へ
   家庭の教育機能の著しい低下
(3)メディア空間の浸透による『経験』の質的変化(直接経験の極小化・間   接経験の極大化)
   現実感の乏しさ
(4)子どもの遊びの変容(共存遊びの衰退・競争と一人遊びの増大)
(5)《活動する身体》の喪失  生活リズムの崩壊、運動不足
(6)《内部(理性)》指向型から《他人(感覚)》指向型に変化
   『まじめ』を否定的に捉える
   『良い、悪い』の判断よりも感覚志向的な『快、不快』『面白い、面白   くない』の価値観が優先

3.心理発達面の問題(思春期を中心に)
(1)身体的、性的な成熟の早さ・遅さと性をめぐる問題
(2)親からの自立をめぐる葛藤(親離れ、子離れの難しさ)
(3)集団をめぐる問題
(4)学校への適応をめぐる問題

4.家庭教育の課題 5つのH              略
 
5.最近の子どもの問題と社会状況を踏まえた家庭における対応法   略