Go Zitudai.HP
RNO--1850
 2011年 2月本科生講座
演題【日本の心・抑制の美〜大相撲などスポーツの現場から】
  講師 日本福祉大学  生涯学習センター長 客員教授(元NHKアナウンサー)杉山  邦博先生
講演要旨      
 こんなに大勢の受講生にたじろいでいます。スポーツアナウンサーとしてやり直しのきかない世界で情報を伝える仕事をしてきまた。                 
 相撲という文化は古く、642年「日本書紀」に相撲という文字が使われており、726年には聖武天皇が伊勢神宮に力人(相撲取り)を集めその年の豊作を神に感謝して、相撲をとらせた。その後全国28箇所の神社でも五穀豊穣を感謝して相撲大会が行われた。現在でもこの文化が伝承されており、毎年初場所前には相撲協会の代表が伊勢神宮に参拝している。しかし今回の八百長疑惑でこの参拝まで今年は取りやめとなってしまい残念で仕方がない。   大相撲はスポーツだが、他のスポーツと違う。1300年もの長きにわたり伝承された文化であり、神の政に関わる伝統ある文化でもある。                   
 1953年NHKに入社以来大事にしている言葉がある、「おかげさまで」と「ありがとうございます」だ。日本福祉大学の学生諸君にもこの二つの言葉を心をこめて言えるように伝えている。勝負の世界では厳しい稽古を重ねて強くならなければならない。そこには自分の精進、努力しかないのだが、それを支えるには、他の人の力を借りなければならない。その時思わず出る言葉が「おかげさまで」と「ありがとうございますだ。                         
 1930年私は北九州市小倉で生まれた。小学1年生のとき、父は中国に出征し帰らぬ人となった。その頃になって小倉でもラジオが聞けるようになった。学校から帰ると、ラジオのある近所のお屋敷に出かけていき、相撲の実況放送を聴いた。(玉錦対双葉山の取り組みの実況)見たこともない力士を想像し、行ったこともない国技館の様子を思い描き興奮した。リアルタイムで臨場感を見事に伝えるアナウンサーに憧れ、大きくなったらアナウンサーになろうと思った。標準語習得に苦労して昭和九州弁丸出しの田舎者が上京し、28年NHKに入社。名古屋放送局に配属された。ここではラジオの相撲中継がされており、スポーツ部で見習いをしながら実況の手順を覚える。放送終了後居残りで先輩と相撲をとり、投げられ、転がされながら組み手、決まり手の実況をして覚えさせらた。
相撲には一貫して大事にしているものがある。「いさぎよさ」と「抑制の美」だ。私は横綱朝青龍を厳しく批判したことがある。彼が問題を起こし出場停止処分を受けてそれが解けた次の場所、千秋楽の優勝決定戦で白鳳に勝ち土俵上でガッツポーズをした。その半年後の千秋楽でも再度ガッツポーズをした。相撲取りの頂点に居る横綱はみんなの手本でなければならないのに。その理由は二つある。一つ目は「勝者は敗者の気持ちになりなさい」という相撲界の教えに反する行為だ。二つ目は大相撲は神の政につながる伝承文化であり、相撲初日の前日には神をお迎えする儀式を行い、千秋楽には神をお送りする儀式を行っている神聖な場所だということだ。                             
 栃錦関の逸話、若乃花関の逸話                  以下略