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RNO--1472
 2010年11月 聴講生講座
演題『源氏物語』を楽しむ〜摂関政治と物語の世界〜
  講師            東京成徳大学人文学部教授 小林 朋恵 先生
講演要旨
  『源氏物語』というと、雅な恋の物語と思われがちであるが、特に第1部
 の光源氏の誕生から「准太上天皇」という現実にはない最高の位に上り詰め るまでの物語は、当時の摂関政治の世界をよく映し出している。物語世界で の光源氏の政権獲得への道筋が、芸実の政治を反映し、さらに、物語の政治
 に学んだ形で、物語よりあとの時代に、光源氏が得た「准太上天皇」という
 ポストが実現する。歴史物語である『栄花物語』と読み比べながら、光源氏 の政治生活をたどりたい。
1.光源氏は不義の子の即位により権力を掌握し、やがて「准太上天皇」の地  位を得た。
 光源氏の「准太上天皇」への道筋
(1)光源氏の誕生(桐壺巻)
   その頃、高麗から名高い人相占いが来ていることを聞きつけた帝が、こ  っそり宮廷に呼び寄せ、最愛の美しい皇子を見せて占って貰った。人相占  いはたいそう驚いて「この子は天皇になる相を持っているが、天皇になる  と国が乱れ、民が苦しむことになる。それでは大臣となって朝廷を助けて
  一生を終わる人ではない。この人はどうゆう人なのだろう。」と首を傾げ  ていた。天皇はそのことを聞き、この子はかわいそうだが源氏にすること  とした。
(2)藤壺懐妊と夢占(若柴巻)源氏18歳 近衛中将
   亡き母桐壺に生き写しだといわれる藤壺が、お里帰りをしている館に光
  源氏がしのんでいったとき、藤壺は体調が悪く、その原因は前回の逢瀬に  あるのではないかと案じていた。光源氏も変な夢を見た。夢占いに見ても  らうと思いがけないことをいわれた。
(3)皇子誕生と藤壺立后(紅葉賀巻)源氏19歳 三位中将から宰相中将に
  昇進
   藤壺の出産予定日は12月であった。みなが待ち望んでいたが、その兆  しがなく、不安だった。翌年の2月無事男の子を出産。その年の7月に彼
  女は中宮となる。
(4)冷泉立太子(葵巻)源氏21歳 右大臣
   世の中が変わり天皇が上位することとなり、藤壺の子どもが東宮とな   る。そこで藤壺は、光源氏にゆかりのある東宮の後見をお願いした。
(5)冷泉即位(澪標巻)源氏29歳権大納言から内大臣に昇格
(6)秋好入内と光源氏の治世(絵合巻)源氏31歳 内大臣
(7)藤壺薨去と夜居の僧都の密奏(薄雲巻)源氏32歳 内大臣
(8)秋好立后と源氏任太政大臣(少女巻)源氏33歳 内大臣から太上大臣
  に昇進
(9)准太上天皇(藤裏葉)源氏39歳
2.史実と物語世界 『栄花物語』              略